【放浪恋愛】まりなの日記

【まよい道】平成８年

２月10日・晴れ

この日の夕食時のことでありました。

友人とふたりでチーズリゾットで夕食を摂っている時に、友人がアタシにこう言いました。

「まりな、アタシね…大学を卒業したら…京都に帰ることにしたから…」

友人は、大学を卒業した後は京都へUターンをして、地元の総合商社に就職をすることが決まったことをアタシに伝えました。

友人は、大学卒業後に大学院へ進学、もしくは大学に残って数年間研究に打ち込みたいとアタシに言うていました。

しかし、１ヶ月前に実家のお父さまが病気で倒れて寝たきりになったので、そういうわけには行きませんでした。

お父さまの入院が長期間に渡ってつづくので、経済的な負荷（ふか）がより大きくなってしまう…

母親から『家を助けるために、京都へかえんなはれ!!』と言われていたので、母親の知り合いの人の紹介で地元の総合商社に就職することになった…

友人が京都へUターンをすると言うことは、アタシの今後の生活にも大きく影響する…

アタシは、休日ごとに高松市内にある不動産屋さんに行ってアパートを探していた…

けど、身丈にかなう物件がみつからないので苦しんでいる…

そして、その上に頭の痛い問題を抱えていました。

この４年間働いていたタダノの工場の雇用契約の満了が近づいていたので、気持ちがソワソワとしていた…

アタシは契約社員なので、年度末ごとに雇い入れ通知書を更新して契約をつないでいた…

この時アタシは、雇用契約の更新をせずに工場をやめることにしました。

１年前(平成７年)に発生した(阪神淡路)大震災の影響で工場内の受注分が大きく減少したこととそれに伴って生産量が大きく落ち込んだことが原因で、従業員さんたちのお給料が20パーセント前後カットされていた…

この時のアタシのお給料は、お弁当代と電車の定期代と保険料などを差し引いて手取りで７万8000円だった…

再就職をした当時は手取りで13万7000円だった…

お給料が大きく減少をしたと言うことは…

生計を維持してゆくことがむずかしくなってしまうので、どうすることもできない…

このままタダノに残るのか別の事業所へ再就職するか…それとも布施(東大阪市)の親戚を頼るかの３つしか方法がない…

アタシはこの時、どのようにして行こうかと分からずに悩んでいた…