あやかしの集う和菓子屋にようこそ
私が頭を下げると、男性はそう言ってくれました。お店で働く者としては、その言葉ほど嬉しいことはありません。
薄い緑に小花の散った自分の着ている着物を見つめ、私は微笑みました。
私の名前は、宮野栞(みやのしおり)と言います。京都のこの和菓子屋で働く十九歳です。私はこのお店で働けてとても幸せです。なぜならーーー。
「栞、お疲れ様」
私がお店の中に戻ると、奥から美しい黒髪の男性が姿を見せます。その瞳や髪は夜のようです。
「蒼樹さんも、お疲れ様です」
私が微笑むと、腕を引かれ気づけば彼の腕の中にいました。どれだけ疲れていても、彼に抱きしめられると元気になれるのです。
彼は、烏間蒼樹(からすまそうじゅ)さん。私の婚約者でこのお店の店主です。そして、人間と烏天狗の間に生まれた方です。
私と蒼樹さんが出会ったのは、私が中学三年生の時でした。
私たちの学校では、中学三年生になると職場体験をしなければなりません。私が偶然選んだのが、蒼樹さんの和菓子屋でした。
薄い緑に小花の散った自分の着ている着物を見つめ、私は微笑みました。
私の名前は、宮野栞(みやのしおり)と言います。京都のこの和菓子屋で働く十九歳です。私はこのお店で働けてとても幸せです。なぜならーーー。
「栞、お疲れ様」
私がお店の中に戻ると、奥から美しい黒髪の男性が姿を見せます。その瞳や髪は夜のようです。
「蒼樹さんも、お疲れ様です」
私が微笑むと、腕を引かれ気づけば彼の腕の中にいました。どれだけ疲れていても、彼に抱きしめられると元気になれるのです。
彼は、烏間蒼樹(からすまそうじゅ)さん。私の婚約者でこのお店の店主です。そして、人間と烏天狗の間に生まれた方です。
私と蒼樹さんが出会ったのは、私が中学三年生の時でした。
私たちの学校では、中学三年生になると職場体験をしなければなりません。私が偶然選んだのが、蒼樹さんの和菓子屋でした。