あやかしの集う和菓子屋にようこそ
「はい、私はいつまでもあなたを想います」

私が微笑むと、蒼樹さんも微笑んでくれました。

職場体験が終わっても、私は蒼樹さんの和菓子屋に足を運びました。そこでおいしい和菓子を買い、蒼樹さんと楽しく話します。

そして、私はアルバイトのできる高校へ入学し、また蒼樹さんの和菓子屋に行きました。

「蒼樹さん、私の気持ちは……変わっていません」

桜餅を買い、私がそう言うと蒼樹さんは「私の本当の姿を知っても、好きでいてくれますか?」と儚く微笑みます。

「本当の姿?」

その刹那、目を閉じてしまうほどの風がお店の中に吹きました。しばらくして風が止んだ時、目の前にいる蒼樹さんの姿に私は驚きます。

蒼樹さんは、紺色の和菓子屋の服から黒い山伏のような格好になっていました。背中には黒い烏の翼が生えています。

「これが、私の本当の姿です。私の父は烏天狗という妖怪で私もその能力が使えます」

「妖怪と人間の間に生まれた、ということですか?」

「はい」
< 4 / 25 >

この作品をシェア

pagetop