幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

 なんだか、なにが恥ずかしいのかわからなくなってきた!
 健一郎と話しているとおかしくなる。

「もう! 頭痛い」
「大丈夫ですか」
「全部健一郎のせいでしょ! とにかくその画像消して!」
「いやです」
「貸して! 私が消すから!」

 私は健一郎の手からスマホを素早く奪うと、
「全く!」と怒りながら写真を消去した。ついでだから、これまでの10000枚以上におよぶ私の写真も全消去した。

 健一郎を振り返ると、悲壮な顔をしている。
 私が怒って、その場を離れると、健一郎はぽつりと、

「これまで撮ったものは全部、パソコンにも同期されて自動保存されているので大丈夫なんですけどね」
「なにか言った?」
「いいえ」

 何を言ったかはっきり聞こえていなかった私の目には、健一郎はなぜか嬉しそうに写っていた。きっと、写真を全部消されておかしくなったのだろうと、その時はのんきに思っていた。

―――だが後日、私は健一郎の部屋でその時の写真が拡大して貼られているのを目撃するのであった……。
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