幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
18章:遭遇
森下先生と一緒にジムを出て歩いている時、森下先生は私に聞いた。
「家でも例のエクササイズちゃんとしてる?」
「あれは事情があってできなくなりました」
「なにそれ」
眉を寄せた森下先生に、つい苦笑する。
理性崩壊だとか、すぐ襲うとか……最近の健一郎の変態発言はどんどんと度を増している気がする。しかし、私はそれを聞いて気持ち悪いというよりは、動悸が激しくなってしまっているのだから、健一郎以上に私の方がおかしい。
そんなことを思っていると、背の高い男性が突然、森下先生の肩を叩いた。
「森下?」
「げっ、藤森先生!」
「げ、って……」
藤森先生と呼ばれたその男性の横には、桐本先生がいた。
私は桐本先生と目が合って、思わず慌てて目をそらしてしまう。
藤森先生はにこりと笑うと、
「きみ、三波ちゃんだよね?」
と言った。
私はもう一度藤森先生を見る。高身長で、明らかにイケメン、ちょっと軽そうなその見た目……私の好きな俳優に少し似てるし、もし会っていたら覚えてそうだが……。
「どちらかでお会いしました?」
「あ、はじめましてか。俺、外科の藤森優斗っていうんだ。昔からよく三波ちゃんの話聞いてたから初めてって感じしなくて」
「誰から……」
そう呟きながら、もしかして、一緒にいる桐本先生だろうか、とも思う。
その時、森下先生が私の肩を触る。
「三波ちゃん気を付けて、この人は……!」
「森下、元気だったか? 全然こっちに顔出さないんだもんな。薄情なやつだ」
森下先生の言葉を遮るように、脅すように、藤森先生は言った。そんな藤森先生を森下先生は見たこともない形相で睨む。
その様子に私は驚いた。
なのに気にしてもなさそうな藤森先生は、
「よかったら一緒にメシでもどう?」
と笑った。