幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
雰囲気の良いダイニングバーについて4人で席に座る。そして手慣れた様子で藤森先生がワインを頼んで4人で乾杯をした。
「森下先生と藤森先生は……お知り合いなんですね?」
私の疑問に答えるように、藤森先生が、
「森下が研修医時代、俺が世話したの。外科に来たときね」と笑う。
森下先生はそれを聞いて顔をしかめると、
「おかげで、その後、外科は選択しませんでしたけど」
と冷たく答えた。
(ん? 名前は聞いてなかったけど、それって、森下先生が呑むたびにこき下ろしていた先輩のこと?)
私が思わず森下先生の顔を見ると、森下先生は、それがわかったように頷いた。
「えぇ! 丁寧に教えたじゃん」
そういった藤森先生に、森下先生はため息をついて、「おかげで男性不信にはなりました」とつぶやいた。
そういえば……いろいろな逸話の持ち主だった。細かくは教えてくれなかったけど、とにかく森下先生が男性不信になるレベルだ。聞いてはいけない気がして、私は二人の顔を黙って見つめる。
「別に俺、お前には何もしてないじゃん!」
「私にはね! でも毎日、いろんなとこでいろんな人といろいろやってくれて! あんなの研修医時代に見せられたら、男性不信にもなりますって!」
「全部あっちがいいって言ってきたんだろ! むしろあっちから脱いだ!」
「だからって普通、病院内であんなことします!?」
(脱いだ!? ってそれ何を? 服!? 病院で? 診察とは別に⁉ どういうこと⁉)
私が完全に固まっていると、森下先生は私の様子に気づいて謝る。
「ご、ごめん! 藤森先生に会ったらつい……! 三波ちゃんには耳に毒ね」
「す、すみません……ついていけなくて……」
私はワインを煽る。酔えば内容もおぼろげになる気がした。
そうしていると、桐本先生がじっとこちらを見ていた。