幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
 家に帰ると健一郎がいた。その顔を見て、ドキリとする。

「三波さん? 飲んできたんですか?」
「うん、森下先生とちょっとね。ごめん、もう寝る」

 部屋に入ろうとする私の手を、健一郎が掴んだ。驚いて健一郎を見ると、健一郎は真剣な目でこちらを見ている。その目を見て、どきりとした。

「……何かあったんですか?」
「手、離して」
「離しません」

 健一郎はきっぱりと言う。

(今までなんでもいうこと聞いたくせに!)
 そう思って健一郎を睨むと、
「今日は、三波さんを一人にしておきたくないんです。朝まで手を繋いでいてもいいですか?」
 と言った。

「やだ」
「三波さん」
 健一郎の手が頬を撫でる。
「やっ……」
 そして、健一郎は私の顎を持って自分の方に向かせると、
「これは、全部僕のせいです。三波さんのことが好きすぎて変な……そんな僕のせいです」
と言って、私の唇にキスを落とした。そして繋いでいる手に口付ける。

 健一郎のその仕草が慣れているように見えて、私は胸が締め付けられた。
 そんな私をただなだめるように健一郎は優しく髪を撫でると、それからもうキスもそれ以上のこともすることもなく、私が眠るまでベッドサイドで私の手を握っていただけだった。
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