幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
―――今から帰りますから絶対に待っていてください。
そんなメールが来て、息が詰まった。
今日は、桐本先生と会っているはずだ。
予想外に早い帰りだったが、そのメールに胸が強く脈打つ。
こんな強い口調も、こんなことを言われたのも初めてだったから……。
20分ほどして、健一郎が帰ってくる。
ちょうど、玄関でどうしようかうろうろしながら考えていたときだったので、玄関で鉢合わせして、私的には非常に気まずい空気になった。
健一郎は私の顔を見ると、いつものように顔を綻ばせる。
「ここで待っていてくれたんですか?」
「ちがう!」
思わずぶっきらぼうに言い放つ。言い放ってから激しい後悔の念が襲ってきた。
(すぐに聞けばよかった。さっきまで桐本先生と会っていたのよね? と)
健一郎は、「帰ってすぐに三波さんの顔が見れてうれしいです」と何食わぬ顔で喜んでいる。
私は仕方ない、と息を吸い込むと、
「さっきのメールなに?」
「話したい事があって」
「なにそれ」
「ここでは……リビングに行きましょうか」
そう言って健一郎は私をリビングに連れて行きソファに座らせると、着替えもせずに二人分のコーヒーを淹れて私の横に座った。