幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

 目の前の困ったように笑う健一郎のその顔に、どうしようもなくドキドキしている。
「僕の事、軽蔑しましたよね……」
「違う。それは違う……」
 私はつい言葉にしていた。「健一郎のこと、変態でストーカーで大嫌いだったのに……今は違って……おかしいの」

 言葉にしてやっと気が付いた。
 私が健一郎のこと自分が思ってる以上に好きだったこと。

「三波さん……」
「健一郎の元彼女とか、過去に誰かと抱き合ったとか、そういう話聞くとどうしようもなくモヤモヤするだけなの。でも、それでも健一郎の事全部知っていたいと思ってて。無理だってわかってても、健一郎は過去も、今も、未来も、私の方だけ向いてないとイヤってだけなの!」

 泣きそうだ。というか、もう泣いてる。
 私自身にもよくわからない感情があふれて止まらなくて、私は泣いていた。

 なんで泣いているのだ。
 涙、止まれ! と思うのだけど、止まる気配はない。むしろ思えば思うほど、涙は勝手に流れ続けた。
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