幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
「三波さん、それをヤキモチというんですよ」
「ちがうってば!」
「まったく……自分でわかっていないのが困りものですね」
 健一郎はそう言うと苦笑する。そして、私の身体をぎゅうと抱きしめると、「でもね、そういうこと、今の状況で言うべきではないってことだけは覚えておいてください。もう少し危機感をもってくれないと、僕はあなたに何をするかわからないんです」

 健一郎はそっと私の身体を離すと、私の涙を大事そうに指で拭う。
 胸が、ぎゅうと締め付けられて、私は思わず健一郎に自分からキスをしていた。

「三波さん……?」
「私たち、夫婦なんだよね。……それはだめなことなの?」

 私はじっと健一郎を見つめる。

(夫婦って、こういうことするんでしょ? キスだって、エッチだって当たり前にするんでしょう?)

 健一郎は、じっと私の方を見ると、

「僕とそういうことをするのは……怖くないんですか」
「……もう、大丈夫」

 健一郎が息をのむ音が聞こえる。健一郎が緊張しているのが分かって私の緊張感も倍増した。けれど、もうここから……健一郎の前から引き返す気はなかった。

「じゃあ、僕の部屋に行きましょう」

 ふわっと身体が浮く感覚。
 健一郎が自分を抱き上げたのだと知って、私の胸はまた大きく鳴り出した。
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