幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

 私が困っていると、健一郎は父母のほうを向いて、珍しくまじめな顔で、

「申し訳ありません、少し三波さんと二人で話をしてもいいですか?」
と言う。

(二人で話し?)
 私の胸がドキリとする。

「いいわよ、もちろん」

 父母は喜んでそそくさとリビングをでた。

(ちょっと、ストーカーと二人きりで室内に残さないでよ! 何されるかわかんないじゃない!)

 私はとっさに身構えると、

「なによ」
と、不機嫌な声で言う。すると、健一郎は珍しくまじめな顔で、私を見つめた。
 私はそんな健一郎を見て、またドキリとした。

 訂正。健一郎相手に、ドキリとなんてしない。
 ただ、少し、健一郎の真面目な顔に驚いただけだ。

 健一郎は、息を吸うと、
「僕は三波さんと、結婚したいです」
とはっきりと言った。

 私はその言葉に耳を疑ったのだった。
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