幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
健一郎が、少し恥ずかしそうに、
「できれば、抱きしめたいのですが」
と言い出した。
私はむっとして健一郎を見る。
「お願いだから、そういうこと聞かないで」
「そ、それは……聞かずにしていいってことですか」
健一郎は結婚した時の『私が嫌だというなら指一本触れない』という約束を今でも果たそうとしているのかもしれない。
―――でも正直、こういうやりとり……めんどくさい。
私は、健一郎の腕をつかむと、
「いいって言ってるでしょ! いちいちうるさい!」
と叫ぶと、健一郎を引き寄せ、強く抱きしめた。