幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
「健一郎なんて大嫌い! もう絶対しない!」
「それは無理ですって」
「なんで無理なのよ! これまでずっと我慢してきたでしょうが! もう一度、『待て』くらいしなさいよ!」
(この駄犬がっ!)
私が怒っているというのに、健一郎は苦笑すると、私の手取って、自分の指を這わせる。
そして、私の耳元に唇を寄せるとクスリと笑い、
「もう『待て』はしませんって」
と言って、そのまま顎に手をかけ、唇にキスを落とした。
軽いキスが何度も続いて、その後にゆっくりと唇を合わされる。そんなキスにまた顔が熱くなった。そしてそっと唇を離すと、健一郎は優しく笑う。その顔をみて、やけに恥ずかしくなって目線を下に向けた。
また、健一郎はクスリと笑う。
「三波さんも、もうこういうことしないのは無理でしょう?」
「別に! とにかく着替えるから出てって!」
「もう全部見ましたけど」
「今すぐ出てけ!」
なんだろう。なんだか……健一郎が違う。
居心地悪くて落ち着かなくて、自分のペースがつかめなくなった気がした。
(そもそも私、今まで、どうやって健一郎に接していたっけ……?)