幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
大学につく少し前、私は健一郎につながれた手を振りほどこうと振る。
「健一郎。もう大学着くし、手、離して」
「えぇ」
「見られたくないんだってば!」
健一郎はただでも知り合いも多いし、目立つ。患者さんにみられるのも、先生方にみられるのも、看護師さんにみられるのも、全部イヤだ。
私が本気で嫌がっているというのに、健一郎は飄々と、
「いいじゃないですか。心配だし、本橋研までお送りします」
と言い放って手を離してはくれなかった。それどころか余計に強く握られる。
「いいってば!」
「ほら、行きますよ」
「いやだぁあああああ」
(この強引さは一体なんだ! 何なのだ!)