幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
私が健一郎の変化に混乱しているというのに、本橋研究室の前まで私を送り届けた健一郎は、やっと私の手を離した。そして、もう行こうと後ろを振り向いた私の髪を後ろから撫でる。
「あ、三波さん」
「なによっ?」
振り返った瞬間、ちゅ、と軽く唇にキスを落とされた。
「っ!」
慌てて周りを確認する。
(なにやってんだぁあああああ!)
叫ぼうとしたとき、次は、あろうことか、その場で健一郎は私を抱きしめたのだ。
「離れがたいです」
「本気でやめてぇええええええ!」
泣きながら訴えていたその時、本橋教授がちょうど出勤してきて、嬉しそうに微笑みながら私たちを見ていたのに気づいて、やっぱり今日は休めばよかった……と私は本気で思うことになった。