幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
「だから私が嫌なんですって! 気持ち悪い!」
「本当ガード固いね。そんなに健一郎が好き?」
そう言われて、私は、
「べつに……」
と呟いて、首を振った。「いや、好きですね。相当好きです」
やっぱり、ここは素直になることにしておいた。
「ふうん。そう」
「それに……私、親友の奥さんだったんじゃないんですか? 親友って、健一郎は否定してたけど、実は本当じゃないかって思ったんですけど、うそだったんですか」
私は本当にそう思っていた。
実は、二人は仲がいいのではないかと。
まっすぐに藤森先生の眼を見ると、藤森先生は、はぁ……と息を吐く。
そして、自分のポケットに手を入れると、院内携帯を取り出して私に見せた。
「ごめんね。二人になってみたくてさ。電話、鳴らなくてよかったよ」
「携帯持ってたんですか!」
「でも、初めてだよ。これで落ちない女子は」
「これでって……」
「壁ドンだっけ? 一時期はやったやつ。キュンとした?」
そう言って藤森先生は笑う。そういえば、さっき壁ドンされたんだった……。
私は思わずむっとする。
(正直、気持ち悪い。昔の健一郎をはるかにしのぐ気持ち悪さだ)