幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
そして、私の中でふつふつと怒りがわいてくる。
藤森先生は目の前で楽しそうに笑っていた。
(ああ、何だろう。かなりイライラするな……)
この先生、これで女子が誰でも落ちるなんて思っていたのか。
これ以上、こんな医師の犠牲者は出したくない。
私は油断している藤森先生の腕を持ち、くるりと身をひるがえして、藤森先生の後ろに回り込むと、藤森先生の身体を壁に押し付けた。形勢逆転だ。
そして、グーで藤森先生の顔の横の壁を殴る。
ガン! とものすごくいい音がした。
「っ……!」
先ほど殴られたのもあってか、藤森先生は驚いたように私を見ていた。
「これが本当の壁ドンです。覚えておいたほうがいいですよ。女が嫌いな男にするんです。キュンとしました?」
そう言って、藤森先生に電話を掛けさせると鍵を開けてもらい、私は藤森先生を無視して、ずんずんと資料室を出た。
(多少はすっきりした! 手が非常に痛いけど!)