幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
ちょっとちょっと、藤森先生とは一緒にいたくないけど、今、私を健一郎の前に一人で置いていかないでほしかった……!
私は自分だけその場を離れていった藤森先生の後姿を睨む。危機的状況に対して、逃げ足が速いのはうらやましいかぎりだ。
私はちらりと健一郎を見る。
「どうしました?」
「け、健一郎さ。……なんか、怒ってる?」
そう、健一郎がすっごく不機嫌なのだ。これまでにないくらいに。
「怒るの当たり前ですよ。僕もまだ三波さんに殴られたことないのに……!」
「『親にも叩かれたことないのに』みたいに言わないで!」
(そして殴ってほしそうに言わないで……!)