幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
(ほ、本当にそれだけが理由……?)
私がまた健一郎を探るように見ると、健一郎はため息をつき、そのまま私を休憩室に連れ込んで、ぎゅうと、抱きしめる。
「藤森には、本当になにもされてないですか?」
「壁ドン」
私は答えて続けた。
「藤森先生がしたというか、私が藤森先生にした。こうやって、壁をドンってね。で、壁ドンってのは女が嫌いな男にするのよ、って教えたの……」
実演までして、健一郎に教える。
健一郎は、また、きょとんとした顔をした後、急に笑い出した。
今度の笑顔は、本当に楽しい時に健一郎が笑っている笑顔。私はその様子に心底ほっとする。