幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
「三波さぁん」
体格の違う健一郎の巨体をずるずると引き摺ると、健一郎が情けない声を出す。
(ちょっとちょっと……酔って意識朦朧としてまで、私の名前呼ばないでよ……)
私は、まっすぐ寝室まで健一郎を運ぶと、健一郎をベッドに引き上げることができず、最終的に諦めて、床にお客様用の布団を引き、その上に健一郎を転がした。
一息ついたときには、冬だというのに、汗だくになっていた。
「まったくもう……」
健一郎のネクタイを引き抜きながら、なかなか幸せそうな顔をして寝ている健一郎の頬を撫でる。
そうすると、健一郎は、ふふ、と嬉しそうに微笑んだ。楽しい夢でも見ているのだろうか。
シーツを健一郎にかけたところで、健一郎がうっすら眼を開けた。
「起きた? ベッドで寝れる?」
私が聞くと、健一郎は突然、私の腕をつかむ。「どうしたの? 気持ち悪くない?」
聞いてみたが、そうではないようで、健一郎は首を横に振った。
「……僕は、ちゃんと三波さんに認められる医者になれているでしょうか」
確かにそう、健一郎がつぶやいた。
「え? な、何言ってるのよ?」
本当に、なんでそんなこと聞くのだろう。
私は医師でもないし、医者を評価できるような人間ではない。
私が聞き返しても、健一郎は気持ちよさそうにすやすや寝息を立てているだけだった。