幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

―――次の日の朝。

「治ってる」

 私はすっかり昨日とは違う身体の軽さに気づいて、そうつぶやいた。
 そして、まだしっかりと握られていた健一郎の手を握り返す。

「健一郎、ごめんね。こんなところで寝て、身体、疲れてるでしょ」
「いえ。三波さんの近くにいるだけで、幸せですから」

 健一郎は、いつものように嬉しそうに微笑んだ。
 その笑顔にも言葉にも嘘がないのがわかるからこそ、心底ほっとする。

「ありがとう……健一郎」

 私は笑う。目の前にいるのは、いつもの健一郎だ。

 すると、健一郎は、
「か、かわいい! しゃ、写真をとっても良いでしょうか!」
ととっさにスマホを出した。

―――あぁ、うん。これもいつもの健一郎だね……。

 私はうなだれた後、
「絶対だめ!」と一喝した。

 健一郎はどこまでいっても健一郎なんだろう。
 それでも、それが嬉しいと思っているのだから、私は相当おかしくなっていると思う。

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