幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
28章:高校時代の告白
健一郎が出張に出たその日、私はすっかり元気になって、仕事に出ていた。
健一郎がいてよかった。ただ、健一郎はほとんど寝ずに出張に出かけたが大丈夫だろうか。体力だけは人よりあることは知っているが、それでも心配になる。
帰ってくる日、おいしいものでも作って待っていよう。私はそう決めて、意識を仕事に切り替えた。
想像通り、仕事はたまり、その山を見て、私はため息を一つ吐く。
(最近日に日に業務が増えていないか?)
でも、事務の業務は嫌いではなかった。忙しくしている大学病院の先生たちの仕事をサポートすること自体は、好きなのだ。
今日は健一郎の出張で帰ってこないし、ゆっくりそれらを片付けていこう。そう思って、そして、ふと、自分の手をじっと見つめる。
健一郎の手のぬくもりを思い出して、私は自分の手をぎゅう、と握った。健一郎とこうして離れていても、なんだか健一郎とつながっている気がする。
夜9時を回ったところで、森下先生と本橋教授が研究室を出て、私は一人になった。
スマホを見ても、まだ健一郎から連絡はない。
(あちらはあちらで忙しいのだろうか? 学会なら、きっと懇親会とかあるよね)
ふと、同じ科である桐本先生のことが思い出されたが、頭を振って考えをかき消した。
―――大丈夫。私たちは、大丈夫。