幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
4章:結婚の意味はまだ知りたくない
「で、仲良くやってるみたいじゃない」
森下先生が、口に食べ物をほおばりながら言う。
私達は、その日、お昼休みに二人でランチに出かけていた。
私は飲みに行こうと言ったのだけど、森下先生は、新婚一週間以内の家庭の邪魔はできないと今週は自粛している、らしい。
そんなこと、別にいいのに。結婚って、ただ紙を役所に提出しただけなのに、周りがやけに気を遣うのはなんでだろう。不思議だ……。
「仲良くありません。もはやただのルームシェアです」
「で? 二人はちゃんと初夜を過ごせたの? なんか、東宮せんせ……いや、佐伯先生喜んでたけど」
喜んでたのは、私が健一郎を椅子に縛り上げたからだ。
もちろん、指一本触れられてはいないし触れてはない。そんなことするつもりもない。私たちはお見合い結婚でもなければ、好き同士で普通に結婚したわけでもないのだ。
―――そんな私たちが、初夜なんて、想像すらできない。
「いや、無理。絶対ないでしょ」
「ないって?」
「そんなことしてないってことです!」
「うっそ!? 佐伯先生、かわいそう!」
森下先生、いつから健一郎の味方になったの?
というか、かわいそうなのは、間違いなく私のほうだ。