幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
「自己満足の何が悪いの?」
三波さんははっきりとそう言い、僕の眼を見据えた。
「三波」
佐伯先生は僕に向かって手を合わせていた。
「パパは黙ってて。私はこの人と話をしてるの!」
三波さんが一喝すると、佐伯先生が困ったようにため息をつく。
この人、という言葉にカチンとくる。結局僕のことなど覚えてないのだろう。それくらいの間柄だ。
(ならせめて、年長者の意見くらい聞けばいいのに)
そう思うが、佐伯先生の手前、言えない。
三波さんは僕をまっすぐ見ると、
「私は『今』、『緒川さん』といたいから一緒にいるだけよ」と言った。
凛とした背中、まっすぐな瞳が僕をとらえる。
それが正しいのか正しくないのかなんて僕にはわからない。
(でももし自分なら…?)
僕はどちらに最後の時にそばにいてほしいと思うだろうか。
―――答えは明白だった。