幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
私は自分の手をぎゅっと握った。
「私は健一郎のことなんて、ただのストーカーで幼馴染だとしか思ってなかったんだから」
「はい、知ってます」
―――知ってるでしょう? 最初は気持ち悪くて仕方なかった。
いつだって飄々としていて、森下先生と行く飲み屋にいつでも現れて……私のピンチにはいつも駆けつける。
「何でも器用にこなす嫌な奴だと思ってた」
「なんですか、それは」
「写真ありえないほど撮って部屋に貼ってるのも気持ち悪かったし」
「すみません。いつでもあなたの気配を感じたくて」
「なのに結婚してから、私の方がおかしいの」
健一郎が笑う。そして、まっすぐに私を見て、健一郎は問う。
「三波さん……『今』は僕のことをどう思っていますか?」
健一郎が息をのむ音が聞こえ、私は健一郎の顔を見ると笑った。
すると、いつもより、穏やかな顔で健一郎も笑う。
自分のことを吐き出せたこと、健一郎の中では大きな変化だったのかもしれない。
―――そんな話を私にしてくれて、私は……
私は自分の手をぎゅっと握ると、
「今は、一番私の大切な人になってる!」
と、健一郎に飛びついた。
そんな私の身体を健一郎はぎゅう、と強く抱きしめた。