幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
突然、ガバッと健一郎が体を起こして、私の身体を下にひく。そして、すぐにベッドサイドにあったスマホを手に取った。
「もう一回! もう一回言って下さい! 録音しますから!」
「なんで録音するのよ!」
「何万回も聞きたいんです!」
何万回もって……冗談ではなく、本当に、何万回も聞きそうで怖い。
下手すれば着信音にされそうだ。そんなことはお断りだ。
「録音なんていらない! これからはちゃんと言うから。それで我慢して」
私が少し怒って、頬を膨らますと、
「あぁー! もう! どうしてそういうかわいいことを平気で言うんですか!」
と健一郎が私の唇を奪った。
その蕩けるようなキスに、目がとろんとして絆されそうになる。しかし、はっと意識を取り戻して、健一郎を押した。
「と、突然何すんのよ!」
「すみません。うれしくて止まりません」
にへら、と緩んだ笑みを私に見せ、また私の頬を触る。まるですごく大事なものを扱うみたいに……。
その優しい触れ方に、いつのまにか私の頬も緩んだ。
健一郎は、唇にキスを落とすと、まっすぐ私の瞳をとらえる。
「僕は、ずっとあなただけを永遠に愛します」
それがまるで結婚式で誓う愛の言葉みたいで、思わず笑ってしまう。
私は健一郎に「私も」と言って、自分からキスをした。