幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
タラのフリットの黒酢あんかけ、里芋の煮物、ポテトサラダ、だし巻き卵、野菜たっぷりの味噌汁、そしてつやつやの白いご飯。食卓に並ぶ料理の見た目と匂いに、またおなかが鳴る。
「ここは……料亭か!」
おいしそう、という言葉がうまく出てこなくて、思わずそう言うと、健一郎は、ふふ、と笑う。
「ありがとうございます。僕の作ったものがあなたの血となり肉となると思うだけで興奮します」
「どうしよう。すごく気持ち悪い」
私が言うと、健一郎はまた嬉しそうに笑った。
どうしてキモチワルイと言われて喜べるのか、その思考回路が知りたい。いや、やっぱり知りたくない。
健一郎が椅子を引いて、私を座らせる。
その当たり前の流れる動作に、私はつい違和感なく対応していた。それほど、健一郎は私に対して、忠実な犬なのだ。
二人で、いただきます、と言って食べ始める。
(なんだこれ!おいしすぎる‼)
そうは思うが、言葉にするには憚られて、私はただ黙々と食べ進める。
それからも健一郎が作った料理がおいしすぎて、私はお箸を止めることができなかった。