幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
結局、健一郎は「あり合わせですみません」と言いながら、野菜たっぷりのコンソメスープを作ってくれた。それを一口食べると、スープの暖かさで心が落ち着いた。そして、気付くと、いつの間にか雨も雷もやんでいた。
「それにしてもクローゼットにいるってよくわかったね」
私は食べ終わった食器を片付けながら健一郎に言っていた。
あんなところにいるなんて誰が想像できるだろうか。帰ってきた健一郎は、どうもまっすぐクローゼットまで来たらしかった。
「んー……」
健一郎は少し悩んだそぶりを見せると、「匂いです」ときっぱりと言った。
私は唖然として口を開く。
「に、匂い?」
「はい、三波さんの匂いがクローゼットからしたので。三波さんはいつもせっけんと甘い香りがするんです」
「さ、さすがにそれは……嘘でしょう」
「いえ、本当です」
きっぱりと言う健一郎の顔と言葉には、確かに嘘はなさそうだ。ただ……。
「本当に気持ち悪い!」
私の全身には、びっしりと鳥肌が立っていた。変な汗まで出てくるし、気持ち悪さで涙もにじんだ。
健一郎はそんな私を見て、嬉しそうに目を細めると、明日こそトムヤムクンにしますね、と笑っていた。