幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
私達は大学内を二人で歩きながら、昔話に花が咲いた。
私達のいたサッカー部は弱小だったが、ジュニアから本格的にサッカーをやっていた真壁くんと、真壁君の親友だった有本くんが入って、とても強くなった。日本一にはなれなかったものの、高校2年で全国大会出場まで達成したのだ。その盛り上がりは、県をあげて、相当なものだった。
「でも、ほんとなつかしいね」
私が言うと、真壁くんも本当に懐かしそうに頷いた。二人でいるだけで、一瞬であの頃に戻ったみたいだ。
そんな彼が白衣を着て、私の横を歩いているなんて不思議だ。
「あぁ。三波は変わらないのな」
「そうかな。あれから何年たってると思ってるのよ。もう立派な大人でしょう」
なんだかんだ、高校を卒業してから会ってないので、7年ぶりくらいだ。
それで全く変わっていないというのも問題ではないだろうか。
「まぁ、ちゃんと働いて生計立ててるんだから、見た目はともかく、大人だな大人」
「なんか嫌な言い方!」
「ほんと、うれしいよ。久しぶりに会えて」
真壁くんはにこりと笑って、私の頭に手を置いた。
その顔を見て、そんなことをされると、なんだか、急に最後のあの日のことを思い出した。
―――私たちがサッカー部を引退した日…。
あの日もこんな感じだった。
それを思い出してぼんやりとしていると、真壁くんが、
「実家のほうは帰ってるのか?」
と聞いてくる。
「うん、時々」
「……あのさ、東宮のやつ、ここにいるって聞いたんだけど」
「健一郎ね。うん、いるよ」
真壁くんも健一郎のことは昔から知っている。
というのも、私の高校時代、健一郎はこちらで一人暮らしをしていたが、長期休みになると必ず帰省して私に張り付いてきたし、サッカーの試合も、私はただのマネージャーなのに、『サッカー部のマネージャーを応援しに来る』というとんでもない偉業を達成した強者なのだ。
その当時のサッカー部員で、健一郎のことを知らない生徒は、まずいない。
あの当時のことを覚えている人に会うのは、正直恥ずかしい。当時も非常に恥ずかしかったのだが……。ある意味、地元の名物だった。