幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
すると、突然、私は腕を引かれた。その犯人は健一郎だ。
健一郎は私を自分の身体の後ろにまわし、私の前に立つ。
健一郎がこんなことをするとは思っていなくて、私は訳も分からず健一郎の背中を見た。腕を振ってみたけど、健一郎の手は引き剥がれない。
いい加減にして! と怒鳴ろうとしたところで、健一郎は、
「そんなわけなので、高校の時みたいに三波さんに告白するなんて真似はしないでくださいね」
とはっきりと言った。
「「なんでそれを⁉」」
私と真壁くんの声が被る。
そんな私たちを見て、健一郎が、
「三波さんのことなら、何でも知ってるに決まってるじゃないですか」
とあっさりと言う。
(何でも、って本当になんでも過ぎて! 心底キモチワルイ!)
私は真壁くんに向かって、胸の前で、ちがうよ! と手を横に振った。
私が健一郎にそんなことを相談していたと思われたら迷惑極まりない。
「健一郎になんて言うわけない! それにそのころ、健一郎は大学に行って一人暮らししてたじゃない……!」
「距離の問題ではありません。三波さんのことで知らないことは何もありません」
「やっぱり、気持ち悪い!」
あぁ、また鳥肌……。私の鳥肌は毎日収まる気配を知らない。
私が泣きそうな顔で絶句していると、
「お前、相変わらず苦労してんだな」
と真壁くんがつぶやいた。
「……わかってくれてうれしい」
私は真壁くんの顔を見る。なんとなく、私たちは通じ合っている気がした。
真壁くんという強力な味方を得て、私は非常に心強くなっていた。
このおかしな生活の中に、一筋の光が見えた気がしたのだ。