幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
―――なんだ、今の夢は……。
私は深夜に目が覚めて呆然としていた。
あんなことまったく覚えていなかった。
なんて恐ろしいことを言う、無謀で浅はかでバカな子どもだったんだろう。ついでに無知で短慮で間抜けだ。もっと言うと……いや、やめておこう。
自分が浅はかな子どもだったことだけはよくわかった。
でも不思議なのは、記憶が違っていること。
私はずっと健一郎が自分のことを追いかけまわしていたと記憶していたが、小さな頃は、私の方が健一郎を追いかけていたようだ。
でもあまりそのことを覚えていないのは、人間は自分に都合の良いことしか覚えていない生き物だからだろうか? もしくは、催眠術で私の記憶が健一郎によって捏造されたかのどちらかだろう。
衝撃的すぎて、深夜だというのに全然眠れなくなった。
ベッドから出てリビングに行ってみる。しかし、健一郎が帰ってきた様子はない。
(やっぱり泊まりだよな……明日は帰ってこないでそのまま勤務するんだろうか?)
ソファに座ってみると、ふわりとどこか懐かしい香りが鼻につく。
そうしていると、また眠気がきて、私はそのままソファで眠ってしまった。