幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
11章:【キス】で検索
部屋に入った私は、健一郎が入ってこれないように、扉の前でズルズルと座り込む。するとリビングの方では、健一郎がバスルームに行った気配がした。
(ほんと、なんなのよ!)
イライラするのに、先ほどの健一郎の言葉が頭の中で反響する。
―――今ならキスをしても許されるのでしょうか。
(許されるはずないでしょうが!)
―――もう唇だけでなく、体も、指も、足先も、髪の先まで全部……貪りたいです。
(一体、あいつは何考えてんだ!)
あ、また鳥肌。あんな夢を見て、寝ぼけた私も悪かったが……健一郎の方がもっとひどいじゃないか!
ただ、健一郎は、私とキスをしたい(あわよくばその先も?)と思ってるということだけは分かってしまって、さらに混乱した。
「そもそも、健一郎とキスってぇええええ……!」
もちろんだが、私は誰ともキスをしたことはない。書類上夫である健一郎とも、だ。
これ以降もする予定はないし、なかった。
健一郎だって私とキスしたいと思ってるだなんて考えてもなかったし……。