幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

「さ、触らないでよ!」

 私が叫ぶと、健一郎の手がぴたりと止まった気配がした。それからそっと目を開けると、目の前で健一郎が苦笑している。

「すみません。顔が赤くて、気になったもので」
「赤いって……!」
「熱でもあるのかな、と……」
「熱……?」
「はい。風邪でもひいてしまったのかな、と思って……。今朝ソファで寝てましたよね」

 健一郎はそんなことを言った。
 私だけが自意識過剰にキスをされるかもしれないと慌てていたことがやけに恥ずかしくなって、大丈夫だから! と叫ぶ。

「ならいいのですが……」

 健一郎はそう言うと、キッチンに歩いて行って料理を始めていた。
 私は、鳴りやまない胸の鼓動の意味が分からなくて、部屋で着替えてくる! と叫ぶと部屋に走って入った。

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