幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
キスの意味は正直よく分からないが、キスされると思ったら急に怖くなって、動悸がして、眩暈まで覚えた……。
(どういうこと……⁉)
以前は、好きな人と、キスしたりその先もしたりするような恋愛をしてみたいと思っていたけど、結婚の期限が迫って、健一郎から『嫌なら指一本触れないから結婚をしたい』と言われて、消去法で健一郎と結婚した。
健一郎と結婚してみたら、健一郎は従来通りストーカー気質で、そういうものとは無縁の相手で、無縁の生活だと思ってた……。
―――健一郎と私は恋愛とかそう言うものじゃない。そうだとずっと思ってたのだ……。
なのに、健一郎があんなこと言うから、あんな風に近づいてくるから!
飼い犬とするキスなら、間違いなくドキドキなんてしないのに!
「なんなのよ! もう! 全部最悪!」
訳が分からなさ過ぎて叫んでいた。
次の瞬間、部屋の扉がノックされる。
「三波さん……? 大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫よ!」
「ご飯できましたよ、一緒に食べましょう」
健一郎はいつも通りの声で言う。
私は結局、そのまま着替えるのも忘れて食卓に着き、健一郎のおいしいはずのご飯の味も分からないまま無言で食べた。その間、健一郎の方に顔も向けず、何かを話す健一郎の話も全く耳に入らないまま、シャワーを浴びて、すぐにベッドに入った。
しかしベッドに入ってみても、全然眠れず、次の日の朝を迎えたのだった……。