幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

「はっきり申し上げておきますが、僕はあなたが好きです」

 その言葉に、大きく心臓が跳ねた。思わず目をそらして言う。

「そ、そんなの何回も聞いている」
「女性として、あなたのことが好きなんです。本当は、キスだってしたいし、あなたを抱きたいとも思っています」
「なっ……!」

(キスとか、抱きたいとか……なにそれ……!)

「だから」
 健一郎の手がすっと差し出される。私はびくりと体を震わせてそれを見る。健一郎は私の目の前まで手を持ってきて、それをぴたりと止めると、
「僕はあなたが覚悟できるのを、ずっとこうして……触れることもできずに待っているんです」
と言った。

 頭がぐるぐるとする。寝不足もあるだろうが、健一郎の熱っぽい目から自分の目にも、頭にも、全身にすら、その熱がうつっている気がした。

「だから、よそ見なんて絶対にしないでください。僕の方だけ見て、僕の事だけを考えていてくれませんか?」
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