幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
そして、大学に行ったら行ったで、真壁くんが研究室に顔を出してきた。
私は昨日の出来事を思い出して、少し身構えると、
「お、おはよ」
と言う。真壁くんはいつもの表情で、
「なぁ、三波、これ、学会経費で会計処理できる?」
と聞いてきて、書類を私に一枚渡した。
それは、学会で使う文具などの領収書だった。文具とはいえ、数が多いので、結構な額になる。
「あ、あぁ。うん。もちろんできるよ」
拍子抜けした私は真壁くんをじっと見る。
真壁くんは、どうした? と、きょとんとした顔で私を見かえした。
よくよく考えてみると、真壁くんに関して言えば、あのとき酔って覚えていないだけのような気もする。
あ、もしかして健一郎も昨日酔っていたんじゃないかな……。
お酒の匂いは……まぁ、自分も飲んでいたからわからなかったし。
(そうだ、そう思おう……!)
変に意識なんてしたくない。
真壁くんは酔っていた。健一郎も酔っていた。
つまり二人とも昨日の出来事は酔っ払った勢いというか、間違いだ。健一郎に関しては今朝も変だったけど……そう、多分二日酔いだ!
私はそう自分に納得させ、このざわつく気持ちを抑えることにした。
幸い学会が一週間後に差し迫り、その準備が多忙を極めていたので、私は猛烈に仕事にのめりこむことになる。
こういうとき、仕事をしていて本当によかったと思った。