幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
次に口を開いたの桐本先生だ。
「……なんで。そもそも、健一郎、結婚とかそういうの興味なかったでしょう」
「三波さん以外とはね」
「……」
黙ってしまった桐本先生を見ず、健一郎は私に手を差し出す。
「三波さん、帰りますよ」
桐本先生の呆然としたような様子が気になって、私がその場で戸惑っていると、健一郎は強引に私の手を取り歩き出した。
「ちょ、待って……」
「なんですか」
「あんな冷たい言い方しなくてもいいじゃない」
私が言うと、健一郎はぴたりと歩みを止める。そして、真剣な目で私を捉える。
「じゃあ、優しくすればよかったですか? 彼女が望むようなことを」
「それは……」
「三波さん。僕はあなた以外好きになりませんし、他の女性に男として触れることもないです」
健一郎ははっきりと言うと、また私の手を取って歩き出した。
そのまま、私はその手を振りほどくこともできず、家まで帰ることになった。