幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
「ど、どうして、今に限ってそんなこと聞くの……さっきはそんなこと聞かなかったじゃない」
「言ったでしょう。僕は三波さんにも、僕の方だけ見て、僕の事だけを考えてほしいと。僕だけを欲してほしいんです」
健一郎の低い声が、言葉が、耳の奥の奥に響く。どっどっどっ、と私の心臓の音はどんどん速くなる。
(……健一郎は卑怯だ)
なし崩しでそうすればできることも、こうしてはっきりと自分で意思表示するとなると全部自分が決めたことになる。私は自分が決めたことに責任を取りたいし、そんな簡単にそれを決めることはできない。
唇をぐっと噛むと、私は首を横に振る。
「やだっ……言わないっ。答えたくない」