幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
大学に行くと、今日のお昼は近くの店の出前のラーメンを食べたいという話なり、
それなら、と本橋教授がおごってくれることになった。
そして、お昼を食べているとき、森下先生が遠慮もへったくれもなく、
「三波ちゃん、すこーし丸くなった?」
と言ったのだった。
私はギクリとする。
今朝がた4キロほどの増量を確認したところだ。森下先生の目は間違いなく正しい。
「やっぱりわかります?」
「そう? 変わらないと思うけどね」
本橋教授が口をはさむ。
本橋教授は昔から私を娘のようにかわいがっているので、たとえ私が20キロ太っても絶対太ったとは言わないと推測される。子どもはいつまでも子ども、そんな感じだろう。
この中で、真実を述べてくれるのは、間違いなく森下先生だ。
「幸せ太りねー」
森下先生が笑うと、本橋教授まで、
「いいね、新婚は」
と言って、懐かしいなぁと加えてから、ははは、と笑う。
間違いなく、森下先生や本橋教授が想像する新婚と私たちはかけ離れているはずだ。
まず私の相手が健一郎であることを再確認してほしい。
「ちがいます! 健一郎がやけにおいしい食事を作るだけだし……」
「やっぱり幸せ太りじゃない」
森下先生がずばりと加えた。
(幸せ……?)
毎日健一郎に鬱陶しいほどまとわりつかれて、好きだ好きと言われ、挙句の果てにはファーストキスやらセカンドキスやらされて、そのあとも、キスしたいとか、抱きたいとか、急に言われだして、戸惑っていて……。
(これが幸せって本当に言うのでしょうか? 神様)
そう聞いても、神様からの答えは決して帰ってくることはない。
でも私自身、心の奥底では、この毎日が最低で不幸せな毎日でないことはわかっていた。
なぜか私は健一郎といる時間に緊張しながらも、少し心地いいと思ってしまっている。