きみはハリネズミ
『え……』


傷つけると分かっていても、私は優里香に西野への恋心を隠しておくことはできなかった。


案の定、優里香はショックを受けた顔をして唇を噛んだ。


『……自分勝手で、ごめん』


ごめんなさい。


大好きな親友を傷つけたかったわけじゃない。


泣かせたかったわけじゃない。


『なんで…』


優里香が言葉をその綺麗な唇から零した。


『なんで…?応援してくれるって、なこ言ったよね?西野がなこに気があるって知ったから?それって後出しじゃない?』


『ごめ』


『ごめんとかいらない!なこは私を裏切ったんだよ!?親友なんて嘘ついて!ひどいよ!』


優里香は今まで見たこともないような形相で怒りを露わにした。


誰も通らない階段の踊り場に優里香の荒い息が響く。


『………もういい。西野がなこのこと好きなら一緒にいればチャンスができるかもって相談したけど、こんなんじゃ意味ない。私なこと友達でいれる自信ない』


優里香は私を睨むと口を歪めて涙をこぼした。


『なこなんて大嫌い』






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