きみはハリネズミ
久しぶりに嫌な夢をみた。


きっと昨日茅ヶ崎くんに酷い言葉を投げつけたせいだ。


心の奥に閉じ込めたはずの記憶は、ふとした弾みに顔を出し、私の心をひどく揺さぶる。


私はひとつ大きな息をつくと、だるい体を無理やり動かしてカーテンのレールに吊った制服に手を伸ばした。


「今日どうしよう…」


どんな顔をして茅ヶ崎くんに会えばいいんだろう。


片付けとか全部放ったらかしにして帰ったんだ。


怒ってるかもしれない。


ううん、それだけじゃない。


軽蔑されて当然だ。


あんなの私が1番なりなくなかった自分だ。


大嫌い。


そんな言葉で茅ヶ崎くんを傷つけた。


「…違う。嫌いなのは自分だ」


あの日と同じように“高坂なこ”という存在が消えた教室が脳裏をよぎる。


「いっそ本当に消えちゃえばいいのに」


呟いたって誰も返事なんかしてくれなかった。
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