きみはハリネズミ
学校を出たところで「ちょっと待ってて」と言われ、私はゆっくりと柱にもたれかかった。


風に晒されて冷たくなったコンクリートの壁が私の背中を優しく撫でる。


見せたいものって何だろう。


嫌いだって言ったのに。


大嫌いだって。


茅ヶ崎くんは顔も広い。人望もある。


私のことを言えば瞬く間に根も葉もない噂が拡がって、刺さるような視線がまた私を見るんだと思ってた。


茅ヶ崎くんはそう出来たはずなのに。


なのにどうして君はまだ隣にいてくれるの?


どうして手を差し伸べるみたいに笑ってくれるの?


「おまたせ」


そう言って笑う茅ヶ崎くんは、太陽の匂いがした。
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