きみはハリネズミ
「高坂さん寒くない?」


「大丈夫」


秋の風は寂しい音がする。


だから秋が嫌いだった。


皆と笑いあってるはずなのになぜか孤独で、それを指摘するかのように首筋を通り抜ける風が疎ましかった。


「茅ヶ崎くんはしんどくない?」


「高坂さん小さいから大丈夫だって。俺男だよ?」


秋風を遮る暖かみに触れないように、そっとシャツだけをぎゅっと握る。
< 39 / 73 >

この作品をシェア

pagetop