きみはハリネズミ
「あれ、高坂さん?」


駐輪場で名前を呼ばれて振り返ると、自転車を押して歩いてくる茅ヶ崎くんが見えた。


ブラウンの柔らかそうなマッシュショートにキリッとした二重の瞳。


鼻筋の通った綺麗な顔が不思議そうに私を見つめる。


「クラスの女子飯食いに行くって言ってたけど、高坂さん行かないの?」


「あー、ちょっと用事があって」


歯切れが悪いのをさして気にした様子もなく、茅ヶ崎くんはそっかぁー、と天を仰いだ。



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