きみはハリネズミ
「あの茅ヶ崎くん、見せたいものって…」


席につきつつ、茅ヶ崎くんに尋ねる。


確かにここは可愛いカフェだと思う。


インスタ映えなんかで変にビジュアルにこだわるわけでもなく、質のいい雑貨と程よい空気感が心地いい。


でもわざわざ文化祭活動を抜けてまでのことなんだろうか。


「まぁまぁ。取り敢えず俺が奢るからなんか頼みなって。あ、すみません注文お願いします」


茅ヶ崎くんはどことなく嬉しそうだ。


「イチゴミルクをひとつ。…高坂さんはどれがいい?」


茅ヶ崎くんは奢ってくれると言ったけど、あまり高いのは気が引ける。


かといって頼まないのも感じが悪そうだ。


「…ミルクティーで」


パッと目に入って1番安かった飲み物を注文する。


垢抜けたシニョンの店員さんは頼んだメニューを復唱すると厨房に戻って行った。


程なくして、1人の店員さんがテーブルにやって来た。


飲み物が届いたのかと思ったけど、手には蓋がついたバスケットを持っている。


「高坂さん、これが俺が見せたかったもの」


茅ヶ崎くんは優しく笑う。




バスケットから顔を出したのは─────
















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