きみはハリネズミ
「…高坂さん、痛い?」


「え?」


「ハリネズミの針、痛い?」


私は手の中のハリネズミに視線を落とす。


「…あんまり」


お菓子みたいに一本一本グラデーションに色付いた針は、想像していたよりもずっと柔らかかった。


暴れるかとも思ったけれど、ハリネズミは夜行性らしく、ウトウトし始めている。


「ハリネズミって敵から自分を守るために硬い針で体を覆ってるんだ。

でも意外とその針は柔らかい。俺たち人間が触っても怪我することなんてほとんどない。
















だから高坂さん、高坂さんの棘だって怖がらなくても大丈夫だよ」





低く、優しい声が耳朶を震わせた。
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