きみはハリネズミ
大丈夫だよ。






私はずっとそんな言葉を求めていたのかもしれない。





独りでいるのは楽だった。





だけど、ずっと暗い道を歩いているみたいだった。





空も道も、自分の歩いている場所さえ見えなくて、




だけど光にこの手を伸ばすのがどうしようもなく怖かった。




また誰かを傷つけたら?





また傷ついてしまったら?





見えない傷は見える傷より深くて治りが遅い。





その傷はきっと呪いのように私の手を掴むだろう。





だから見ないふりをした。





カバンに揺れるお揃いのクマのキーホルダー。




色違いの髪飾りに、眩しそうな集合写真。





目を瞑って耳を塞いでいれば自分の中の小さな想いに気付かなくて済む。




だけど本当は、





本当は、ずっと──────












< 46 / 73 >

この作品をシェア

pagetop