きみはハリネズミ
「私、本当はみんなと仲良くなりたい…っ」




絞り出した声は震えていた。



ポツリ、ポツリ。



スカートの上に涙が落ちて、濃紺に染まる。



「ずっと怖かった。嫌われるのも、傷つけるのも。いつの間にか、距離の取り方が分からなくなって、自分の気持ちが言えなくなった。平気だって笑ってなきゃ自分を守れなかった。本当はずっと前から自分の気持ちに気付いてたのに」



茅ヶ崎くんが羨ましかった。


いつだって茅ヶ崎くんの周りには誰かがいて、だけど上辺だけの関係なんかじゃなくて。


あんな風に笑えたら、私も光に手を伸ばせたんだろうか。


茅ヶ崎くんといると、そんな風に思う自分を見透かされそうで落ち着かなかった。
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