きみはハリネズミ

あぁ、







何でこの人は欲しい時に欲しい言葉をくれるんだろう。





ふ、と喉の奥から嗚咽が漏れた。



何度も何度も涙が頬を伝って膝に落ちる。


目の奥が熱くて、喉の奥がぎゅっとして、だけど胸はじんわりと暖かかった。


ずっと凍りついていた心が溶けていくようだった。


私、手を伸ばしてもいい？


もう一度その手を握り返しても許されるだろうか。


考えるより先に口が動いた。


「私、強くなりたい」


あの日、歯を食いしばって涙を堪えた私を抱きしめてあげられるように。


もう大丈夫って笑えるように。


茅ヶ崎くんはハリネズミをそっと撫でると、「高坂さんならできるよ」と穏やかに笑った。