きみはハリネズミ
「高坂さん?」
「え」
近すぎる距離で顔を覗き込まれ、私は思わず声をあげた。
茅ヶ崎くんの柔軟剤の匂いが鼻孔をくすぐる。
「随分と深刻な顔をしてるから体調悪いのかと思って」
大丈夫?
そう言って彼は自転車のスタンドを下ろす。
「あ…大丈夫。考えごとしてただけだから」
私は慌てて笑顔を浮かべた。
笑顔のポイントは口角を上げること。
目尻を下げて、でも不自然にならないように控えめに。
「茅ヶ崎くん今日部活オフでしょ?私なんかに構ってないで存分に満喫してきなよ」
線を引く。
越えられない線を、私と彼の間に。
そうしたら傷つかなくていい。
あの日みたいに、涙を飲み込まなくてもいい。
「え」
近すぎる距離で顔を覗き込まれ、私は思わず声をあげた。
茅ヶ崎くんの柔軟剤の匂いが鼻孔をくすぐる。
「随分と深刻な顔をしてるから体調悪いのかと思って」
大丈夫?
そう言って彼は自転車のスタンドを下ろす。
「あ…大丈夫。考えごとしてただけだから」
私は慌てて笑顔を浮かべた。
笑顔のポイントは口角を上げること。
目尻を下げて、でも不自然にならないように控えめに。
「茅ヶ崎くん今日部活オフでしょ?私なんかに構ってないで存分に満喫してきなよ」
線を引く。
越えられない線を、私と彼の間に。
そうしたら傷つかなくていい。
あの日みたいに、涙を飲み込まなくてもいい。